不動産鑑定士とは?資格試験の難易度や合格率を徹底解説

不動産鑑定士は、不動産の価値を専門的に評価するプロフェッショナルです。

市場調査、物件の物理的特性などを考慮して不動産の適正な価格を算出します。

不動産鑑定士の資格は高度な専門知識と実務経験が求められ、試験は非常にむずかしいことで知られています。

この記事では不動産鑑定士とは何か、その資格試験の難易度や合格率について詳しく解説します。

目次

不動産鑑定士とは?

不動産鑑定士とは、法律に規定された国家資格のひとつです。

不動産の経済価値を判定する専門家として、不動産の鑑定評価を行うために必要な資格です。

国や都道府県が公表する地価公示や地価調査等の公的土地評価をはじめ、不動産の売買・賃貸、融資の際の担保評価など、様々な場面で活用されています。

土地や建物に対して、不動産鑑定を行い不動産鑑定評価書を作れるのは、不動産鑑定士だけに認められた独占業務です。

日本3大国家資格の一ひとつ

日本には3大国家資格と呼ばれる資格が3つあります。

一般的に、弁護士・公認会計士・不動産鑑定士の3士業を指します。

これらの資格が3大国家資格として挙げられる理由は、資格取得に必要な知識が非常に専門的で高度な知識を要求されるためです。

不動産鑑定士の難易度

不動産鑑定士の資格取得の難易度は非常に高いとされています。

不動産鑑定士の資格取得を考えている方の中には、試験の難易度が知りたいのではないでしょうか。

ここでは実際に資格取得に必要な知識や試験概要と近年の合格率についても解説しますので参考にしてください。

不動産鑑定士試験の概要と必要な知識

不動産鑑定士の資格試験には2つの関門があります。

  • 短答式試験
  • 論文式試験

2つの試験内容と必要な知識について詳しく解説します。

短答式試験

短答式試験とはマークシートへ記入していく試験です。

令和6年度実績では制限時間は2時間、40問を100点満点で評価します。

試験は午前と午後で2回あり、午前、午後ともに2時間の試験時間です。

試験範囲は、午前は「不動産に関する行政法規」、午後は「不動産の鑑定評価に関する理論」です。

不動産鑑定士の試験範囲は過去5年変わっていません。

短答式試験の合格ラインは大体7割程度の正答率です。

合格すると、論文式試験に挑めます。

論文式試験

論文式試験とは、不動産鑑定の実践的な問題を論文形式で回答する試験です。

主題範囲もかなり広く、必要な基礎知識と応用力も求められる問題が出題されます。

論文式試験は3日間の日程で行われ、午前と午後で2時間づつの試験時間です。

論文式試験の出題科目は以下の通りです。

  • 民法
  • 経済学
  • 会計学
  • 不動産の鑑定評価に関する理論(論文)
  • 不動産の鑑定評価に関する理論(演習)

論文式試験の合格率は概ね15%程が毎年の合格率なのでかなりむずかしい試験と言えるでしょう。

不動産鑑定士の合格率

不動産鑑定士試験の合格率は以下の通りです。

年度受験者数(人)合格者数(人)合格率(%)
令和5年164755333.6
令和4年172662636.3
令和3年170962136.3
令和2年141546833.1
令和元年176757332.4

出典:国土交通省HP

不動産鑑定士試験における短答式試験過去5年の合格率は平均で34.3%となっています。

大体毎年33%〜36%で推移してるので、合格率は低い訳ではないです。

続いて論文式試験の合格率は以下の通りです。

年度受験者数(人)合格者数(人)合格率(%)
令和5年88514616.5
令和4年87114316.4
令和3年80913516.7
令和2年76413517.7
令和元年81012114.9

出典:国土交通省HP

不動産鑑定試験における論文式試験過去5年の合格率は平均で16.4%となっています。

大体毎年15%〜16%で推移してるので、かなり難易度は高いと言えるでしょう。

不動産鑑定士の勉強方法

不動産鑑定士の試験は大体毎年同じ時期に実施されますので、比較的対策はしやすいです。

ここでは、試験合格に必要な勉強時間や、各種試験の勉強方法について解説しますのでしっかり読んで試験に向けて準備をしてください。

試験合格に必要な勉強時間

不動産鑑定士に必要な勉強時間は2800時間前後が必要だと言われています。

試験者全員に2800時間が必要という訳ではありません。これまでの経験や、大学で民法や経済学を学んだ方であれば、平均より短い時間で試験に合格できる可能性もあります。

短答式試験の勉強方法

短答式試験で重要なのは暗記です。

試験に必要な知識は、建築基準法や都市計画法、不動産に関する法律など、不動産鑑定士に必要な37の法令についての理解です。

行政法規は法律を学ぶものですが、試験には条文のみが出題されます。判例等は出題されませんので、繰り返し過去問題を解いて勉強してください。

鑑定理論については、法律独特な言い回しや専門用語が数多く出てきますのでそれらの言葉を理解することから始めてください。

毎日、基準や用語に触れて少しづつ覚えて行きましょう。

論文式試験勉強方法

論文式試験では以下のような知識が求められます

不動産に関する行政法規土地・建物に関する法律のほか、不動産に関する税制や投資信託・金融取引に関する法律などの知識。
不動産の鑑定評価に関する理論不動産鑑定評価の基準および運用上の留意事項に関する知識。
民法不動産の取引等において重要な「民法」を中心に、「借地借家法」、 「建物の区分所有に関する法律」を含めた法律知識。
経済学ミクロ及びマクロの経済理論と政策論に関する知識。
会計学企業の財務諸表の作成や理解に必要な会計理論に関する知識。

出典:私たち不動産鑑定士です。

論文式試験の勉強法は、テキストで内容を確認した後、論証集等を用いて典型論点を幅広く押さえるのが良いでしょう。

論証集とは問われている論点をそのまま回答として出せるものをいいますが、長くて非常に使いにくい部分もあります。

論文式試験においても過去問を解くのは非常に重要です。

出題の傾向として、過去の問題と近年の問題では出題傾向が異なるため、過去問を復習する場合は比較的、最近の年度で出題されるものを勉強しておきましょう。

不動産鑑定士の業務内容・年収は?

不動産鑑定士の業務内容は非常に専門性の高い知識や経験が要求されます。

それゆえに年収レベルでもかなり高い金額となっています。

ここでは、晴れて不動産鑑定士に登録した後の業務内容や年収について触れていきたいと思います。

不動産鑑定士の業務内容

不動産鑑定士の業務内容は大きくふたつあります。

不動産鑑定評価とコンサルティング業です。

不動産鑑定評価は不動産鑑定士に認められた独占業務です。

土地や建物などの不動産の経済価値について、地理状況や法規制、市場経済における価値を多角的に考慮し鑑定します。

コンサルティング業は、不動産の鑑定評価にもとづいて、顧客のニーズに合わせた適切なアドバイスと提案を行います。

個人から企業まで幅広い顧客がいるため活躍のフィールドはかなり広いと言えます。

不動産鑑定士の年収

不動産鑑定士の年収は約754万円というデータが厚生労働省から出ています。

平均月収が約49万円、ボーナスが年間約166万円とかなり高収入であると言えます。

日本の労働者の年収の中央値が396万円ですので、不動産鑑定士の年収はかなり高いことがわかります。

不動産鑑定士の将来性が抜群な理由3選!

不動産鑑定士になるためには、難関試験を突破し、その後実務修習を受ける必要があります。そのため、不動産鑑定士の将来性は非常に気になりますよね。

ここでは不動案鑑定士の将来性が抜群な理由を3つ紹介しますので、不動産鑑定士を目指す方は最後まで読んで参考にしてください。

不動産鑑定士も高齢化が進んでいる

日本全体の問題ではありますが不動産鑑定士も高齢化が進んでいます。

国土交通省の出したデータによると平成28年のデータで40歳〜49歳が全体の約3割を占めるというデータがあります。不動産鑑定士の人材育成について 国土交通省 土地建設産業局

成28年の時点で40歳〜49歳が全体の3割だと、2024年では50歳〜60歳が3割を占めている計算になります。

不動産鑑定士の高齢化は進んでいる可能性が高そうです。

高齢化が進んでいる分、若い人でもすぐに活躍できる可能性があるため、チャンスが多い領域です。

専門性の高い業務独占資格

不動産鑑定士の業務に不動産評価があります。不動産評価とは公的評価といって、国や自治体から「地価公示」「相続税路線価」「裁判所の競売に関わる評価」「公共用地の取得」などをまかせられるものがあります。

この仕事は日本にいる以上なくなりません。

鑑定評価の需要は全国的にありますので、仕事の幅はかなり広いといえます。

資格の組み合わせで市場価値を高められる

不動産鑑定士と、不動産系の資格は非常に相性がいいです。

不動産関連の資格とダブルで持つと、自分の市場価値を高められるので、仕事の幅が広がったり、年収アップにつながったりします。

下記の資格は不動産鑑定士の資格試験にも役立つので自分のキャリアプランに合わせて取得してください。

  1. 1級建築士
  2. 宅地建物取引士
  3. マンション管理士
  4. 管理業務主任者
  5. 賃貸不動産経営管理士
  6. 土地家屋調査士

全ての資格を取得する必要はありませんが、自分の市場価値を高めるためにも取得をお勧めします。

不動産鑑定士資格試験に関するよくある質問

ここでは資格取得に関するよくある質問を2つ、事例を紹介し解説していきます。

資格取得に悩んでいる方は最後まで読んで参考にしてください。

不動産鑑定士は働きながらでも合格できる?

不動産鑑定士の資格は働きながらでも合格できます。

不動産鑑定士の資格は、多くの人は就職後に知ります。そのため、不動産系の企業や、銀行勤めの方でも普段の仕事の内容も含めてきちんと対策して、勉強すれば合格できる可能性が高いのです。

独学は可能?

不動産鑑定士の資格試験には独学でも合格できます。

しかしながら、独学故に不動産業に従事する方や、通信教育を受けている方に比べるとどうしても、資格取得までに時間が掛かってしまいます。

一般的な勉強時間2800時間をどう捻出し、如何に効率よく学べるかによって合格への道のりは短くなるでしょう。

まとめ

不動産鑑定士は日本3大国家資格と呼ばれる難関資格です。

難易度が高いですが、資格取得後は金銭的なメリットを受けられます。

この記事の内容が少しでも資格取得を悩んでいる方の後押しになれば幸いです。

資格試験合格に必要な時間は相当長いですが、毎日少しでも勉強して合格を目指してがんばってください。

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この記事を書いた人

副業Webライターのテツといいます
記事を読んでくださってありがとうございます
40代でお金の大切さにようやく気付けました
今までずっと漠然と働いていた
日々に別れを告げたい!
同じ悩みを持つ同年代のお父さんたちに刺されって思いでブログ更新していきます!

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